個人事業が軌道に乗ってくると、「法人化(法人成り)したほうが得なの?」という疑問が出てきます。よく言われる目安は所得800万〜900万円ですが、実際は社会保険料や事業の内容によって大きく変わります。
この記事では、法人成りで得する理由と損する理由、判断の目安、法人化のタイミングの決め方をまとめました。
法人成りで税金が下がる理由
| 項目 | 個人事業主 | 法人 |
|---|---|---|
| 税金の種類 | 所得税(5〜45%の累進課税)+住民税10%+個人事業税 | 法人税など(中小法人は所得800万円以下の部分に軽減税率) |
| 自分への報酬 | 経費にならない | 役員報酬として経費にでき、受け取る側は給与所得控除が使える |
| 家族への給与 | 青色事業専従者給与(届出が必要) | 役員報酬・給与として支払える |
| 退職金 | なし | 役員退職金を経費にできる |
個人の所得税は所得が増えるほど税率が上がりますが、法人の税率は比較的一定です。そのため、利益が大きくなるほど法人のほうが有利になりやすくなります。さらに、自分に役員報酬を払うと「給与所得控除」が使えるのも大きなポイントです。
法人成りで負担が増えるもの
- ☐ 社会保険料:法人は社長1人でも健康保険・厚生年金への加入が必要。会社負担分と個人負担分の両方がかかる
- ☐ 法人住民税の均等割:赤字でも年7万円程度かかる
- ☐ 設立費用:合同会社で約6万円〜、株式会社で約20万円〜
- ☐ 税理士費用・事務の手間:法人の決算・申告は個人より複雑
- ☐ お金を自由に使えない:会社のお金は社長個人のお金ではなく、役員報酬は原則として年の途中で変えられない
社会保険料は負担が増える一方、将来の厚生年金が増えるという面もあります。
法人成りを考えるタイミングの目安
| 状況 | 検討の目安 |
|---|---|
| 所得(売上−経費)が800万〜900万円を超えてきた | 税金面のメリットが出やすい。試算を始める |
| 課税売上高が1,000万円を超えた | 2年後から消費税の課税事業者に。法人化のタイミングを検討する目安になる |
| 取引先から法人での契約を求められた | 所得に関係なく、法人化が売上アップにつながる |
| 人を雇う予定がある | 採用や社会保険の面で法人のほうが整えやすい |
| 所得がまだ少ない・不安定 | 個人事業のままで、青色申告などで節税するほうが有利なことが多い |
消費税の課税事業者になるタイミングについては「個人事業主の消費税はいつから払う?」で解説しています。インボイス登録の有無によっても判断が変わります。
判断するときの3ステップ
- 今の税金・保険料の合計を出す:所得税・住民税・個人事業税・国民健康保険・国民年金(→「個人事業税と住民税はいくら?」)
- 法人化した場合を試算する:役員報酬をいくらにするかで、法人税・所得税・社会保険料の合計が変わる
- 差額から設立費用・税理士費用・均等割を引く:毎年のメリットが残るかを確認する
役員報酬の決め方で結果が大きく変わるので、最終判断の前に税理士に試算してもらうのがおすすめです。法人を作らずに社会保険料を抑える「マイクロ法人」という方法もあります。
法人化を決めたら:設立の準備
- ☐ 株式会社か合同会社かを決める(→「合同会社の作り方」)
- ☐ 本店所在地を決める(自宅を公開したくなければ、法人登記できるバーチャルオフィス)
- ☐ 事業年度(決算月)を決める
- ☐ 定款を作り、登記を申請する(→「法人化(会社設立)の手順」)
- ☐ 個人事業の廃業届を出す
設立書類は、作成サービスを使えば質問に答えるだけでそろいます。電子定款にすれば、紙の定款で必要な印紙代4万円もかかりません。
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まとめ
- 法人成りの目安は所得800万〜900万円。ただし社会保険料や事業内容で変わる
- 法人は役員報酬で給与所得控除が使える一方、社会保険料・均等割・事務の手間が増える
- 売上1,000万円超え、取引先の要望、採用予定も法人化を考えるタイミング
- 今の負担と法人化後を試算し、最終判断は税理士に相談する
※税制や社会保険の制度は改正されることがあります。最新の情報は国税庁・日本年金機構などの公式サイトでご確認ください。


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